極楽寺所蔵涅槃図について、平成30年8月に京都府文化財保護課と亀岡市教育委員会とで調査が行われ、「南北朝時代の14世紀半ばごろの制作と考えられ、丹波地域の中世涅槃図の優品として貴重。香川県に現存する国の重要文化財に類似する珍品」と評価されました。
更に令和2年3月には当涅槃図が「京都府指定文化財」に指定されました。
ただ涅槃図の痛みが激しく修理を急ぐことになり、令和3年4月より京都国立博物館にて修理事業が始まっております。
修理完了は3年後の予定です。
極楽寺所蔵涅槃図の文化財的価値
①歴史的価値
・南北朝時代(約700年前)作成のもので、釈迦の衣紋には金箔(截金)が残る貴重な絵画資料です。
・亀岡市内で京都府指定文化財となっている絵画はわずか3点しかなく、「涅槃図」として1点しかありません(令和3年3月31日時点)
・木箱には、江戸時代(約300年前)に丹波亀山藩領の各村が出資して修理したことが記され、大切に保管されてきたことがわかります。
・河原林町の歴史を語る上で欠かせない亀岡市にとって貴重な文化財です。
②これまでの経過
・平成30年8月23日 京都府文化財保護課と亀岡市教育委員会で調査
・平成31年2月 京都府暫定登録文化財に登録される
・令和2年3月27日 京都府指定文化財に指定される
・令和3年4月〜 極楽寺涅槃図の修理事業が始まる(3年計画)
↑釈迦の部分拡大
↑釈迦衣紋の金箔
↑入滅を悲しむカニや魚
【参考】京都府指定文化財に指定された際の情報
<京都府指定 美術工芸品(絵画)>
名称:絹本著色仏涅槃図(けんぽんちゃくしょくぶねはんず)
時代:南北朝時代
所有者:極樂寺(亀岡市)
概要:14世紀半ば頃の制作と考えられ、香川県與田寺本仏涅槃図(重要文化財)と同一系統に属する珍しい作品です。伝統的表現による謹直な描写が見られ、釈迦がまっすぐ足を伸ばし、頭のそばに蓮台を描くなど、平安時代以来の古様を良くとどめており、南北朝時代では異例といえます。また、エビやカニ、複数の魚を描くことや、動物の約半数が花を献じるなど、非常に珍しい図像を持ちます。
類例の少ない図像的特徴を持つ丹波地域の中世涅槃図の優品として貴重なものです。
また箱にある元禄14年(1701年)の修理銘からは、本作品が南丹波の多くの町や村の人々によって守り伝えられた様子がうかがえます。